東京回帰/23/

never feel nostalgic Tokyo.





古い友人の祝い事に招待され、東京へ。
ほんの2週間前に立ち寄ったばかりとはいえ(長年暮らした街が)相変わらず何も懐かしく感じないのは、山手線のせいだと思う。
車窓から見える小汚い風景や高層ビルも車内の匂いも座席の色も、懐かしくないどころか、まるでそれがまた明日からも続く日常のような錯覚をもたらす。

静かに目を閉じて、子供たちの声や、鳥の羽音を思い出したところで目を開けば2000年代の東京風景と何も変わらない”気分”になり、久しぶりに青い溜息を吐いたのだがアレは本当に俺の記憶(気分)なのだろうか。
1925年に円くなって以来、昼夜回転し続けているあの列車は現在・過去を問わず、それに乗車している人々の記憶をゴチャ混ぜにしている。果たして、いつになれば、俺は途中下車出来るのだろうか。


東京回帰/23/
祝い事で行ったはずなのに祝い事の写真など1枚も残さず、ゴチャ混ぜされた記憶の中に見た風景を撮る。

そういえばホテルでスーツに着替えて、式場に向かう用意を整えた途端、
猛烈にそこに行く気が消滅し、
別方向の列車に乗ったことはまだ妻にも話していない。



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